リハビリ管理システムを長く使っていると、機能不足や老朽化を理由に、別のシステムへ乗り換えたいという声が現場から上がってきます。しかし、既存のシステムに蓄積された患者情報や実施記録などのデータをどう引き継ぐかで悩み、乗り換えに踏み切れない現場も少なくありません。
本記事では、リハビリ管理システムを乗り換える際のデータ移行の進め方と、失敗を防ぐための注意点について解説します。
リハビリ管理システムには、患者情報や実施計画書、実施記録、評価データ、画像・動画など、多岐にわたるデータが蓄積されています。乗り換え時には、どのデータをどこまで新システムに引き継ぐのかを決める必要がありますが、この整理が不十分だと、移行後に「必要な情報が見当たらない」といった事態に陥りがちです。
また、既存システムと新システムでデータの持ち方や項目名が異なる場合、そのままの形では移行できないこともあります。特に、既存システムで独自に設定した項目や自由入力したデータなどは、新システム側に対応する項目がなく、データの変換や移行方法の検討が必要になる場合があります。事前に対象データの棚卸しを行い、移行の可否や変換方法を明確にしておくことが大切です。
まずは、現在のシステムに保存されているデータを一覧化し、新システムに引き継ぐ範囲を決めます。過去何年分のデータを引き継ぐのか、動画や画像などの大容量データはどう扱うのかも、この段階で整理しておきましょう。すべてを引き継ぐのではなく、法令や院内規程などで保存が必要な期間や、実務で参照する頻度を基準に、移行対象と旧システム側で保存しておく対象を分けて考えると、作業量を抑えやすくなります。
患者情報や疾患区分、担当者などの情報は、システムごとに項目やコードの定義が異なる場合があります。新旧システムの項目やコードを確認し、必要に応じて変換ルールを事前に決めておくことで、移行後の運用トラブルを防ぎやすくなります。特に、コード体系が異なる場合、患者情報の紐付けや集計に影響する可能性があるため注意が必要です。
新システムへの切り替え方法として、旧システムと一定期間並行して運用する方法があります。並行運用中にデータや運用上の不備を確認し、必要に応じて修正したうえで切り替えを進めることができます。並行運用の方法によってはデータの二重入力が発生し、療法士の負担が一時的に増えることもあるため、スケジュールに余裕を持たせておきましょう。
乗り換え時のデータ移行は、システムベンダーの支援内容によって進めやすさが大きく変わります。契約前に、移行作業をどこまでベンダー側で対応してくれるのか、追加費用はどの程度発生するのか、移行後の初期サポート体制はどうなっているのかを確認しておくと安心です。
また、既存システムからのデータ出力形式と、新システム側での取り込みに対応できるフォーマットについても、事前に整合性を確認しておくとスムーズに進められます。旧システムからデータをどのような形式で出力できるのか、契約書や仕様書を確認したうえで、必要に応じて早めに旧システムのベンダーへ問い合わせておきましょう。
データ移行を含むシステム乗り換えは、要件整理・移行準備・テスト・本稼働など複数の工程があるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。短期間で切り替えを進めようとすると、現場の確認作業が追いつかず、思わぬトラブルにつながることもあります。
また、療法士や事務担当者など、実際にシステムを使うスタッフを早い段階からプロジェクトに巻き込んでおくと、運用に沿った移行方針を立てやすくなります。導入後の定着もスムーズに進めやすくなるため、キックオフの段階から関係者間で認識を共有しておくとよいでしょう。
リハビリ管理システムの乗り換えでは、データ移行に向けた準備が重要です。移行対象の棚卸しやマスタの整合性確認、並行運用期間の設計を丁寧に進めることで、移行後の運用トラブルを防ぎやすくなります。ベンダーによって支援内容やサポート体制は異なるため、複数のシステムを比較したうえで、自院の運用に合った製品を選ぶことが大切です。
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