リハビリ病棟など、医療・介護サービスを提供する施設では、リハビリを受ける方の状況を把握し、適切なケアやリハビリ後の成果を知るために第三者評価を実施しています。ここでは、リハビリ病棟における第三者評価の概要や経緯、費用負担の課題について紹介します。
第三者評価とは、リハビリテーションを提供する施設以外の第三者機関による判断評価のことです。
2023年11月15日、厚生労働省は中央社会保険医療協議会総会を開催し、回復期リハビリ病棟における第三者評価の活用を議論しました。
総会では、第三者評価の認定を受けている施設は認定されていない施設に比べて、FIMの測定が適正に行われている割合が高くなっているという話題が取り上げられ、第三者評価の必要性が課題となりました。※
※参考元:厚生労働省「2023年11月15日 中央社会保険医療協議会 総会 第564回議事録」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205879_00212.html)
2023年9月に開催された中央社会保険医療協議会の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」では、回復期リハビリ病棟の第三者評価義務化に関する議論が行われており、2024年現在も検討が重ねられている状況です。
また、一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会は「確実な評価を実践し、病院ごとにばらつきがあった評価をさらに精確に行えるよう、日本医療機能評価機構や認定機関などの第三者評価の受審が望ましい」と結論づけました。※
※参考元:(pdf)一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会「回復期リハビリテーション病棟の 目指すべき方向性」( http://www.rehabili.jp/publications/book/b2022_04/2204_toku2-2.pdf)
FIMは機能的自立度評価法の略語で、運動と認知に分けた項目をそれぞれ評価し、合計点数を算出して評価する方法です。
従来のFIMでは、測定を正確に行うために一定の知識と経験が求められており、不適切なFIM評価になってしまうケースもみられました。
そこで、公益財団法人日本医療機能評価機構などが客観的に測定を行うことで、病棟ごとのばらつきをなくして適切な評価が可能になると期待されています。
第三者評価に関する提言が厚生労働省に採用されている一方で、評価には費用負担や現場にかかる負担が大きくなります。一例として、公益財団法人日本医療機能評価機構が提供している病院機能評価事業では、リハビリテーション病院への審査に1,485,000〜5,588,000円(申込み金は別)がかかります。※
現場にかかる負担が増えることから、入院基本料の一部のみを義務化するといった経過措置が検討されています。
※参考元:(pdf)公益財団法人日本医療機能評価機構「価格表」( https://www.jq-hyouka.jcqhc.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/eaf5a36c5be7840a4615cbb7b6a3d25f.pdf)
リハビリ病棟では利用者ごとの適切なケアが課題となっており、第三者評価は課題解決に役立つと期待されています。
すぐに完全義務化することは難しい状況ですが、提言と議論を重ねたうえで部分的に義務化していく可能性があるため、今後の情報に注目したいところです。
リハビリ管理システムについては以下のページでも紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
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