リハビリテーションにおける統計手法は、患者の回復過程や治療効果を科学的に評価・分析するための重要な役割を果たします。以下に、統計手法の目的、方法、メリットについて解説します。
リハビリにおける統計手法の活用目的には、治療効果の評価、治療法の比較、予後の予測などが挙げられます。例えば、患者の回復状況や治療効果を客観的に把握する際に、数値データとして評価できます。
また、異なる治療法やリハビリ法の効果を比較したり、回復までの期間や症状の改善度を定量的に示したりする際にも統計は有効です。これにより、より効果的な治療法を選択するための根拠となるデータが得られます。
統計手法を用いることで、患者の回復度や治療法の効果を客観的に把握できます。主観的な感覚だけでなく、データに基づいて判断できる点が利点です。また、統計結果を分析して、より効果的なリハビリ方法や治療方法を見つけることができます。患者ごとのアプローチ方法を見つけられる点もメリットです。さらに、リハビリの効果を科学的に証明するためのデータを得られ、新たなリハビリ方法や治療法の開発に活用できます。
統計手法は、大きく分けて「パラメトリック手法」と「ノンパラメトリック手法」の2種類があります。パラメトリック手法はデータが正規分布に従うと仮定して、平均値の差の検定(t検定)や分散分析(ANOVA)を行うものです。これらは量的データに適用されます。ノンパラメトリック手法は、データの分布に特定の仮定を設けず、順位和検定や符号検定などを使用する方法です。
複数の群間で平均値の差を検討する際には、分散分析(ANOVA)を用います。ANOVAには、1つの要因による群間の差を検定する方法と、2つの要因の主効果や交互作用を検定する方法があります。
統計手法は、データの尺度と分布を検討した上で選択することが重要です。名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度のどれに該当するか、また、データが正規分布しているかどうかを確認した上で適した統計手法を選びます。
ある自治体では、認知症の予防や早期対応を目的として、統計手法を活用した取り組みを実施しました。対象者は、週に1回、半年間にわたり教室に参加し、カリキュラムに沿って脳の活性化を図るプログラムに取り組みました。その結果、実施後のデータからは、参加者の約9割で軽度認知症の症状が改善または維持されたことが報告されています。
参照:総務省統計局(PDF)(https://www.stat.go.jp/dstart/case/pdf/r2/r2_case04.pdf)
ある病院のリハビリセンターでは、行政への統計データ提出の頻度が増加し、加えて理学療法士の人数も増えたことで、従来の手作業による統計処理ではデータ管理が困難になっていました。そこでリハビリ支援システムを導入し、電子カルテや目標設定への活用、統計処理をシステム上で行うようになりました。
参照:リハメイト(https://www.rehamate.com/case-study/352/)
リハビリにおける統計手法にはさまざまな利点があり、今後の治療方針を定める上でも有効な手段です。
目的に応じた統計手法を活用して、患者の治療に役立てることが期待されます。
当サイトでは、リハビリ管理システムの選び方や、おすすめのシステムを紹介しています。ぜひ参考にしてください。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)