リハビリ病棟では、患者さんのADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の改善状況を正しく評価・把握しなければなりません。ここでは、リハビリ病棟におけるADLの目的と仕組み、評価に関する課題について紹介します。
ADL評価の目的は、患者さんの要介護度の把握・看護やリハビリの計画・リハビリの効果を把握することです。
正しく評価を行うことで、患者さんごとに必要なケアが提供できます。科学的根拠をもつ治療をそれぞれの方の意向に沿って提供できるといったメリットもあります。
ADL評価の方法は、自立度に応じて点数や段階で評価される「BI(バーセルインデックス)」と「FIM(機能的自立度評価表)」の2種類です。
BIは日常生活の動作を10項目に分け、検査や訓練によってできたことを点数で段階的に評価するものです。FIMは13項目の運動機能に加えて、人との交流や問題解決といった内容を5項目に分類し、認知機能に関して点数をつけていきます。
これらの評価によって、自立〜完全介助までの段階を個別に把握できるようになります。介護やリハビリテーションの分野では患者さんごとのオーダメイド的なケアが必要になるため、これらの指標が活用されています。
2種類ある評価方法のうち、バーセルインデックス(BI)は細かい動作状況や身体の変化を把握できないため、きめ細かい評価が難しいというデメリットがあります。
FIMについては、リハビリ病棟においては得点を低く見積もる不適切事例が確認されています。
2020年度の議論では、診療報酬改定を境にして入棟時のADL状態が低く評価されているという指摘があり、ADL改善の程度を大きくしている懸念がみられました。その結果、適正な評価を行うために第三者評価の導入が新たな課題となりました。
これまでは施設の努力義務とされていましたが、2024年現在では第三者評価を受審する流れをつくっていくべきという提言がみられ、部分的な導入の可能性などについて議論が続けられています。
ADL評価では患者さんと評価者のあいだ、また評価者ごとに差異が発生しないよう、正しく見極めを行う必要があります。
患者さんの状況によっては1日の中でも調子に波があり、階段を登れる日と登れない日があるなど、日内変動や日差変動による評価の差に注意が必要です。
ADL評価は患者さんごとに実施し、できることとできないことを点数化して「見える化」する効果があります。
ただし、客観的な評価のため評価者による偏りが起きないように注意しなければならず、人手不足に悩む現場では患者さんごとのデータ管理も課題となっています。そこで、機能評価やデータの管理、目標設定機能などを搭載したリハビリ管理システムの導入がおすすめです。
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