ここでは、妊産婦に対するリハビリテーションの課題とその対策を紹介しています。
妊娠・出産期にリハビリテーションが果たす役割は大きいと考えられています。妊産婦は、筋骨格系をはじめ、さまざまなトラブルが生じやすいためです。リハビリスタッフは、全身の状態を把握しながら、適切に関わることを求められます。ただし、診療報酬の兼ね合いなどから、臨床におけるリハビリスタッフの介入はあまり進んでいません。また、予防的ケアの取り組みも求められますが、この点においても十分な支援が行き届いていません。2022年度に保健所または市区町村が実施した健康増進関係事業で運動指導を受けた妊産婦は30,605人(健康増進関係事業で指導を受けた妊産婦の6.8%)です。病棟、地域とも、リハビリスタッフの介入が進んでいないといえるでしょう。
妊産婦のリハビリテーションでは、ウィメンズヘルスに関する専門的な知識が求められます。妊産婦ならではのトラブルが生じやすいためです。例えば、想定外の出血が起きることもあります。したがって、整形外科医はもちろん、産婦人科医とも連携をとりながら、リハビリテーションを実施することが大切です。また、情報収集においても、妊産婦ならではの視点が求められます。具体的には、腰痛との関わりがあるため出産経験を把握しておく、身体の回復状況に関わるため仕事の復帰時期を確認しておくなどが考えられます。もちろん、妊産・出産期における心身の変化なども理解しておかなければなりません。
厚生労働省が発表している資料によると、2019年時点で理学療法士、作業療法士の供給数は需要数を上回っています。しかし、医療の現場で、これらの専門職が充足しているとはいえません。2023年における理学療法士の有効求人倍率は4.36倍、作業療法士の有効求人倍率は4.14倍、全職業の有効求人倍率は1.31倍です。専門スタッフを確保しにくい点も、妊産婦に対するリハビリテーションの課題といえるでしょう。
妊産婦に対するリハビリテーションでは、整形外科医などに加え産婦人科医との連携を求められます。また、共有するべき情報も少なくありません。リハビリ管理システムを導入すると、医師との連携ならびに情報共有をスムーズに進められます。
リハビリスタッフの介入が進んでいない理由として、妊産婦に対するリハビリテーションの必要性が理解されていないことがあげられます。広報活動も、現状を変える対策のひとつです。また、女性のスタッフを配置する、プライベートリハビリ、グループリハビリを行うなど、相談、利用しやすい体制を構築することも大切です。
妊産婦に対するリハビリテーションの課題として、リハビリスタッフの介入が進んでいないこと、専門知識を求められることがあげられます。医師との連携やスタッフ間の情報共有は、リハビリ管理システムを導入すると効率よく行えます。リハビリ病棟におけるその他の課題を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)