呼吸リハビリテーションはさまざまな課題を抱えています。ここでは、主な課題とその解決策を紹介しています。
慢性呼吸器疾患患者を対象とする呼吸リハビリテーションは、十分な科学的根拠が蓄積されているため、呼吸困難の軽減やQOLの向上に効果があると考えられています。このことは、慢性呼吸器疾患患者に対する標準治療であることからもうかがえます。一方で、呼吸リハビリテーションを必要とするすべての方に提供できているわけではありません。今後も需要は高まると予想されていますが、医師、理学療法士、施設とも十分な体制を整えられていないといえるでしょう。
前述の通り、呼吸リハビリテーション(運動療法)は、慢性呼吸器疾患患者の呼吸困難軽減などに、有効と考えられています。ただし、すべての方で期待通りの成果を得られるわけではありません。呼吸リハビリテーションに取り組んでも、一定の割合で十分な成果を得られないケースが発生します。このような場合に、選択するべき他の方策について検討の余地が残されています。
呼吸リハビリテーションの主なゴールはADLとQOLの向上です。ただし、患者視点で考えると、ここがゴールとは言い切れない面があります。社会復帰をゴールに設定すると、呼吸リハビリテーションの成果が実際の生活で生かされなければならないと考えられるためです。この視点が希薄な点も現状の課題といえます。
普及率を高めるため取り組みたいのが、医療スタッフと患者、その家族に対する啓発活動です。加えて、呼吸リハビリテーションにアクセスしやすい環境をつくることも大切といえます。具体的な方法として、在宅における呼吸リハビリテーションの実施があげられます。
呼吸リハビリテーションの成果には、運動療法以外にもさまざまな要因が関わります。活動性を引き下げている因子を分析して、作業療法、栄養療法などを取り入れつつ、総合的にアプローチすることが大切です。
ADL、QOLの向上が、患者の生活状況に必ずよい変化をもたらすわけではありません。患者の生活を踏まえて支援を行っていないと、よい変化をもたらしにくくなります。日常活動性を意識しつつ、実際の生活を見据えたゴールを設定することが大切です。
呼吸リハビリテーションが抱えている主な課題は、アクセスを見直すことや総合的なアプローチを図ること、患者の実生活に配慮することなどで乗り越えられる可能性があります。日々の業務で、これらの点を意識してみてはいかがでしょうか。
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