循環器内科や心臓血管外科を中心に、心疾患を持つ方に対して依頼されることの多い心臓リハビリテーション。
ここでは、心臓リハビリテーションにおける理学療法士の役割と注意点を詳しく解説しています。
心臓病を持つ患者さんが、体力を回復して社会や家庭など日常生活に復帰したり、再発や再入院を防止したりすることを目的に、運動療法や学習活動、生活指導、カウンセリングなどを行う総合プログラムのことです。略して「心臓リハビリ」とも呼ばれます。
心疾患を持つ方や心臓手術後の患者は、心臓のはたらきはもちろん、長い間安静にしていたことによって運動機能や体の調節機能なども低下していて、これまでと同じような活動がすぐに出来るわけではありません。そのような方々に寄り添い、プログラムを実施しながら自信を取り戻していくのが心臓リハビリテーションです。
心臓リハビリでは、医師や理学療法士をはじめ、専門知識を持った多くの医療従事者が関わります。看護師や薬剤師、臨床心理士、検査技師、作業療法士、健康運動指導士など、それぞれの役割を持ちながら連携し、患者の状態に応じた効果的なプログラムを提案・実施することが求められます。
心臓リハビリテーションにおける理学療法士の役割は、患者の病期によって異なります。
心臓リハビリが必要と医師に診断された患者のコンディションを正しく評価できるように、病態の理解やバイタルサインの測定、問診の結果の解釈など、リハビリを行う日ごとに把握します。
手術後すぐの急性期の患者が行うリハビリは、まず上下肢の運動や体位変換など、安静時にもできる動作です。その後、意識状態やバイタルが安定してきたら、起立や車いすへの移乗など、基本的な動作を自立できるよう練習します。
起き上がりや移乗などの基本動作ができるようになってきたら、プログラムに有酸素運動を取り入れていきます。患者1人ひとりの運動負荷量を見極め、目標に向けて運動処方を行います。この段階は、グループリハビリ(集団リハビリ)を実施する場合もあります。
退院前に自宅でのエクササイズ方法や生活指導など、退院後の具体的なアドバイスを行います。退院後の定期的な通院が必要な患者に対しては、定期的に運動や身体機能を評価してフィードバックし、運動内容を調整することも業務のひとつです。
心臓リハビリテーションにおける運動療法では、リハビリ中の転倒や骨折に注意が必要です。
特に高齢者の方や肥満の患者の場合、腰椎や下肢関節など整形外科における疾患を伴っている人も多いため、運動による腰痛や下肢痛、しびれの出現や悪化のリスクにも注意しなくてはなりません。
また、3日間以上ベッドで安静にしていた患者や大手術から間もない方、車椅子期間が長かった患者、肥満の方、がん患者など、抗凝固療法を行なっていない患者の場合、「静脈血栓塞栓症」を発症するリスクがあります。
これらのリスクを回避するためにも、運動療法開始前にリスクを評価して層別化を図ることが求められます。
運動前のウォームアップや運動後のクールダウンを実施するなど、転倒事故防止や運動後の低血圧・めまいを予防する対策を実施することも重要です。
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