ここでは、回復期リハビリ病棟の不足状況と、回復期リハビリ病棟に対する補助金・助成金について解説しています。
地域医療構想に基づき、良質かつ適切な医療を効率よく提供できる体制の整備が進められています。ポイントは、2025年における病床の必要数を医療機能ごとに推計して、各構想区域に設置された地域医療構想調整会議で、病床の機能分化・連携について協議していることです。具体的な医療機能として以下の4つが挙げられています。
厚生労働省が発表しているデータによると、2023年時点における全国の病床数は合計119.3万床です。地域医療構想が定める2025年における病床の必要数(119.1万床)と同水準といえるでしょう。医療機能別でも同水準に達しているのでしょうか。医療機能別の病床数は以下のとおりです。
医療機能 | 2023年の病床数(構成比) | 2025年における病床の必要数(構成比) |
高度急性期 | 16.0万床(13%) | 13.0万床(11%) |
急性期 | 52.5万床(44%) | 40.1万床(34%) |
回復期 | 20.4万床(17%) | 37.5万床(31%) |
慢性期 | 30.3万床(25%) | 28.4万床(24%) |
合計 | 119.3万床(100%) | 119.1万床(100%) |
病床数の合計は2025年における病床の必要数と同水準ですが、医療機能別にみると急性期と回復期で目標との乖離が見られます。具体的には、2023年時点で急性期の病床は目標より12.4万床多く、回復期の病床は目標より17.1万床少ない結果となっています。
2025年における見込みの病床数と2025年における病床の必要数を比較すると次のようになります。
医療機能 | 2025年における見込みの病床数(構成比) | 2025年における病床の必要数(構成比) |
高度急性期 | 16.2万床(14%) | 13.0万床(11%) |
急性期 | 51.8万床(44%) | 40.1万床(34%) |
回復期 | 21.1万床(18%) | 37.5万床(31%) |
慢性期 | 29.7万床(25%) | 28.4万床(24%) |
合計 | 119.0万床(100%) | 119.1万床(100%) |
現状では、急性期病床が劇的に減少することも、回復期病床が劇的に増加することもないと考えられています。つまり、病床数の合計は2025年における病床の必要数に達するものの、医療機能別の病床数には過不足が生じると考えられているのです。以上をもとに考えると、回復期リハビリ病棟は不足しているといえるでしょう。
急性期病床から回復期リハビリ病棟または地域包括ケア病棟への転換にかかる費用の一部を県が補助する事業です。基準額などは以下のとおりです。
補助対象者 | 千葉県内の病院の開設者 |
施設整備の基準額 | 新築・増改築:16,000千円/床 改修:800千円/床 |
設備整備の補助対象経費の上限 | 10,500千円/施設 |
補助金交付額の上限 | 40,000千円/施設 |
地域医療構想に基づき、2025年に向けて医療機能別に病床の整備が進められています。全体の病床数は目標の水準に達していますが、急性期と回復期は目標の水準に達していません。急性期の病床は多く、回復期の病床は少ないのです。各自治体は、補助金・助成金などを設けて病床の整備を進めています。対象となる医療機関は、活用を検討するとよいかもしれません。リハビリ病棟の課題について理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)