リハビリテーションの現場では、患者様への施術以外にも、計画書作成や他職種との連携、会議など、多岐にわたる業務が存在します。日々の忙しさに追われ、長時間労働が常態化しているケースも少なくありません。業務の質を維持しながら効率化を図るには、個人の努力だけでなく、客観的な枠組み(フレームワーク)を用いた見直しが有効です。本記事では、リハビリ現場で活用できる業務改善の視点を紹介します。
業務改善の基本となるのが「ECRS(イクルス)の原則」です。これは業務改善を検討する際の「順番」を示しています。いきなりデジタル化(簡素化)を考えるのではなく、まずは「その業務自体が必要か」という根本的な問いから始めることで、無駄のない改善が可能になります。
最も効果が大きいのは、業務そのものをなくすことです。慣習として続けている会議や、誰も活用していない日報の項目などがないかを確認します。リハビリ業務においても「本当に必要な記録か」「重複している情報収集はないか」といった視点で、やめることを検討します。目的が不明確な業務を廃止できれば、最もコストをかけずに時間を創出できます。
業務をなくせない場合、別々の業務を「一緒にできないか」を考えます。例えば、似たような目的の会議を一本化したり、リハビリ実施時の問診と記録の一部を同時に行ったりすることが該当します。分離していた工程や場所を結合させることで、移動や準備の手間を減らし、効率を高めることができます。
業務をなくせない、あるいは結合できない場合、手順や担当者、場所を入れ替えることで効率化できないか検討します。例えば、リハビリ実施計画書の作成タイミングを変更したり、特定のスタッフに集中している事務作業をローテーション化したりすることが該当します。業務の流れを入れ替えるだけで、待ち時間の短縮や負担の分散につながる可能性があります。
業務の廃止や入れ替えを行った上で、残った業務をより簡単にする方法を考えます。複雑な記述が必要な書類をチェックリスト形式に変更したり、定型文をテンプレート化したりすることが挙げられます。この段階で初めて、システム導入による自動化などの手段も検討対象となります。誰が実施しても同じ時間と品質で完了できる仕組みを目指します。
リハビリ職はチームで動くことが多いため、個人の業務改善だけでなく、チーム全体での振り返りも重要です。「KPT法」は、週次ミーティングやカンファレンスなどで活用できる、現状分析と行動決定のためのシンプルな枠組みです。ホワイトボードなどを用いて、以下の3つの要素を書き出します。
業務の中で「良かったこと」「今後も続けたいこと」を挙げます。「新しい記録様式が使いやすかった」「申し送りの時間を短縮できた」など、肯定的な成果を共有します。できたことを可視化することで、スタッフのモチベーション向上にもつながり、良い習慣をチーム全体に定着させることができます。
業務を進める上での「問題点」や「不安なこと」を挙げます。ここでは個人を責めるのではなく、仕組みや現象に焦点を当てることが重要です。「書類作成で残業が増えている」「情報の共有漏れがあった」など、事実ベースで課題を抽出します。課題を明確にすることで、改善すべきポイントが具体化されます。
Problem(課題)を解決するための具体的な「解決策」を挙げます。「次回の会議からタイマーを使用する」「共有フォルダの構成を変更する」など、すぐに実行可能な行動目標を設定します。精神論ではなく、具体的なアクションプランに落とし込むことで、確実な改善サイクルを回すことができます。
リハビリ現場の業務改善において重要なのは、担当者の頭の中にある手順や課題を可視化することです。ECRSやKPTといったフレームワークを活用することで、感覚的に行っていた業務の無駄や、チームが抱える課題が客観的な事実として浮かび上がります。見えなかった業務を整理し、本来注力すべき患者様へのリハビリ提供時間の確保につなげてください。
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