ここでは、生活機能向上連携加算の概要と課題について解説します。
生活機能向上連携加算とは、所定の要件を満たすことで算定できる介護報酬上の加算です。主な目的は、自立支援・重度化防止につながる介護サービスの推進です。
訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションを実施している事業所やリハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士・作業療法士・医師などと連携して、訪問介護計画を作成することで、生活機能向上連携加算を算定できます。
令和3年の介護報酬改定で、生活機能向上連携加算(Ⅰ)が新設されました。2024年10月時点で、生活機能向上連携加算の単位には(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定はできません。それぞれの単位は以下のとおりです。
名称 | 単位 |
---|---|
生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位/月 ※3カ月に1回を限度 |
生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 |
生活機能向上連携加算(Ⅰ)の要件は、訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションを実施している事業所またはリハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士・作業療法士・医師から助言を受けられる体制を構築して、助言を受けてから機能訓練指導員などが個別機能訓練計画を作成することです。理学療法士・作業療法士・医師は、サービスの提供場所のほか、ICTを利用した動画などで利用者の状態を把握しながら助言できます。
生活機能向上連携加算(Ⅱ)の要件は、訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者宅を訪問して助言すること、またはリハビリテーションを実施する医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が訪問して助言することです。
令和元年10月時点で、生活機能向上連携加算を算定している事業所・施設は、全事業所・施設のうち3.1%です。算定していない主な理由として、「外部のリハ事業所等との連携が難しいため」(通所介護:36.7%、訪問介護28.1%)が挙げられています(※1)。
そこで対策として検討したいのが、ICTの活用です。令和3年の介護報酬改定により、外部のリハビリテーション専門職がICTを活用して助言した場合も、生活機能向上連携加算を算定できます。
外部のリハ事業所などと連携するうえで課題になりやすいのが、情報共有の難しさです。スムーズに連携できる体制を構築できないと、かかる手間に単位が見合っていないと感じる恐れがあります。
そこでリハビリ管理システムを導入すれば、専門職間の情報共有を図りやすくなります。連携しやすい体制を手軽に構築したい場合は、リハビリ管理システムの導入を検討するとよいでしょう。
生活機能向上連携加算は、外部の訪問リハビリ提供事業者やリハビリテーションを実施している医療機関などと連携して訪問介護計画を作成した場合などに算定できる介護報酬上の加算です。外部との連携や情報共有が難しく算定率はそれほど高くありませんが、ICTやリハビリ管理システムを活用することで課題解決につながります。
リハビリ病棟における他の課題を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)