リハビリ管理をシステムで導入するかExcelで構築するかを迷っているかもしれません。Excelでもリハビリ管理を行うことは可能です。ここでは、Excelでできるリハビリ管理の例を紹介します。
リハビリ管理において、上記のような課題や悩みを抱えている病院少なくありません。特に割り振り作業や入退院患者の管理、単位管理といった業務は入力項目が細かいため、小さなミスが起きやすいでしょう。
そんな煩わしい業務も、エクセルを使えば簡単に効率化を実現できます。最初に枠組みとなるテンプレートを作ってしまえば、あとは項目を埋めるだけです。今まで手入力していた部分の自動化も叶うため、作業効率が大幅アップすること間違いありません。
Excelは費用コストが比較的かからず導入することができますが、入力規則が必要だったり、不慣れな人は表連結などをしてしまったりして、使い勝手が悪くなってしまうことも…。
専用ソフトであれば自社が使う項目に合わせて選定できますし、操作画面がわかりやすいものもあるため、
作業効率を上げることは人的コストの削減にも繋がります。「将来的な目線で見たときに、専用ソフトを導入してみても良いかも?」と感じている人は、是非リハビリ管理システムもチェックしてみてください。
まずは、医療分野での情報化の代表的な例として「電子カルテシステム等の普及状況の推移(厚生労働省)」を例にあげてみてみましょう。2017年(平成29年)時点で、一般病院全体で46.7%と半数近い普及率ですが、規模別にみると200床未満の病院では37%にとどまっています。同年のデータで、400床以上の病棟では85.4%、200~399床以上病棟では64.9%であることと比較して、以前は「小規模な病棟であれば、システムを導入せずともリハビリ管理が可能だった」と考えられます。
ただ、2020年(令和2年)になると一般病院で57.2%、200床未満の病院でも48.8%まで普及率が上昇。また医療情報システム市場規模は、拡大傾向にあるとする調査データもあります。
このように、社会全体がシステム導入の方向に進む流れから見ても、200床を超える病院(理学療法士が100人を超える規模)ではエクセル管理が難しいと考えられます。データ入力をするパソコンの台数と、入力者の人数が見合わなくなれば、業務が滞る一因にもなるでしょう。
Excel(エクセル)には、リハビリ管理に便利な機能がたくさんあります。しかし、管理をする上で押さえておくべき・念頭におくべきポイントを押さえておかないと、かえって使いにくさを感じてしまうかもしれません。ここでは、エクセルでリハビリ管理をする際に、前提として頭に入れておくべき注意点を紹介していきます。
1人でエクセル内の情報を管理するのであれば問題ありませんが、複数人で使用する場合は情報が共有しにくく、同時編集も難しいなどの難点があります。また、複数人で管理を行う際、データの入力形式を統一していないと、スムーズな集計作業ができない可能性もあるため注意が必要です。
エクセルはデータの容量が多くなるほど動作が遅くなり、時に作業の途中でフリーズしてしまうなどのトラブルが発生するケースも。膨大なデータの保存が苦手なソフトなので、データ量が増加してきたらファイルを縮小するなどの対策を講じなければなりません。
エクセルを利用してデータ管理を実施する場合、プルダウン式での入力を採用するのが一般的です。しかし、プルダウンは該当項目の複数入力ができないシステムのため、項目によってはそもそもこの入力形式が向いていない可能性があります。もちろん、この場合はいちいち項目を手入力しなければならないため、患者数の多い大規模な医療機関では劇的な作業効率の向上は望めないかもしれません。
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自動スケジュール管理機能があるリハビリ管理システムとは
病院の規模にもよりますが、リハビリ管理において、患者管理から勤務表などさまざまな使い方ができるエクセルは非常に便利です。また、ネット上にはリハビリ管理のためのエクセルシートを作成する方法が多くあり、すでに作成したエクセルをダウンロードすることも可能。また、簡易に入力するためのコツも掲載されています。
まずは、ベースとなる万年カレンダーです。日付をクリックするとその日の担当患者一覧が開けるように作成します。そこから各項目をクリックして、それぞれの項目のページに遷移させます。万年カレンダーは、年・月の数字を入力すると自動的に更新されるようになっているカレンダーです。月ごとのカレンダーやその日の日付を表示するものなどがあります。
入院患者の管理画面では、「転入日」「患者の名前」「転入前の病棟・病院」「退院日」が直接入力できるようにしておくと良いでしょう。そして、「担当チーム」や「担当者」「担当時間」をリストから選択できるように設定してください。この管理画面が患者マスタとして、他のページにも反映されるようにします。さらに見やすくするために、退院日を過ぎた患者情報や職種別に色分けをして、自動で変更されるように設定しておくと便利です。
担当患者管理画面では、患者管理画面で入力した情報が自動的に反映されるように設定します。担当患者管理画面は、チームや担当者ごとの受け持ちが可視化されるため、担当人数の偏りがあればすぐ分かるのが特徴です。また、担当時間の偏りも一目で分かります。仕事の振り分けが上手くいっていない場合は、適切な配置に変更しましょう。退院日を過ぎた患者の色分けも自動で反映するようにします。患者管理画面からデータを削除すれば、担当患者管理画面の情報も自動的に消去されるように設定しておきましょう。
トップページのカレンダーと連動して、勤務表の管理画面を作成します。トップページの年月を変更すれば勤務表も自動で変更されるようにしておくことがポイントです。担当者のシフトを入力すれば、当日のスケジュール管理画面へも自動反映されるように構築します。シフトを入力する際は、リストからの選択もしくは直接入力が考えられますが、全員分の入力は効率が悪いので、勤務表作成ツールを別に用意して、そこからコピー&ペイストで入力すると良いでしょう。
日々の業務量を見える化し、担当患者数などを管理するためのスケジュール管理画面も必要です。入院患者の情報、担当患者数、申し送りの人数は自動で反映されるようにします。フリーコメント欄も設けて、直接入力できるようにしておくと業務連絡がスムーズです。休日者が自分の担当している患者と申し送り先を事前に入力することで、当日の担当人数が計算されます。スケジュールに偏りがでた場合もすぐに分かるので調整しやすいです。
名簿マスタとして、シート管理画面を作成します。担当者の情報の更新、勤務表、当日の担当患者数の管理ページのリセットができるページです。新入職員や異動などの情報も入力します。ツール内で職員が入力する箇所以外を修正できないようロックをかけてください。誤入力を予防できます。また、情報更新・リセットの際は、一括保護や一括解除ができるように各ボタンに対してプログラムを設定しておくと良いでしょう。
エクセルを使ってリハビリ管理を行うにあたり、作業効率を高めるためには入力規則を統一するのが重要です。列ごとに条件を統一しておかないと、集計作業で正確な数値が表示されなくなってしまうでしょう。
同じ内容が続くからといって「同上」や「〃」と入力すると、集計や検索の際にその項目はヒットしなくなります。このトラブルはデータ管理をする人が増えるほど発生しやすいので、定期的に入力規則の周知を行うのが望ましいでしょう。
患者さんの年齢をソートする場合、通常は年齢が若い順に表示されるのと常時に、名前やその他の項目も自動的に連動するでしょう。しかし、表と表の間に空白などがあると、「2つの表には関連性がない」と判断され、並べ替えなどのシステムがうまく機能しなくかってしまいます。このような事態を防ぐためにも、不要な空白行や列をはさまず、表全体を関連付けてください。
上下左右のセルを結合してしまうと集計がうまくいかず、データ上の数値と実際の数値にズレが生じてしまいます。性別や担当医が同じであってもセルは結合せず、必ずデータを入力してください。複数の単語を入力する必要のないセルの場合は、プルダウンを活用すると便利でしょう。
リハビリ管理を行ううえで、「入退院の状況や担当医などを色分けしたい」と考える方もいるでしょう。たしかにこの方法は情報を区別しやすいですが、一方で検索やソート機能が使えなくなるというデメリットを持ちます。そのため、もしも色分けをしてデータ管理を行いたいという場合は、色での分類の他に入退院の状況や担当医などの項目を作るのがポイントです。
なお、あくまでも色だけで情報を区別するのが良くないというだけであって、情報として入力しておけば項目自体に色が付いていても問題ありません。
データ数が増加すると、どうしても似たような名称や項目が出てきます。時に、他の列と同じ情報と同じ名称を入力するケースも発生するでしょう。すると情報が重複しているので、入力ミスかどうかが判断できないままに他の人がデータを消去してしまうなどのトラブルに繋がります。
このようなトラブルを回避するためにも、番号やIDなどで情報を区別しましょう。
患者番号、生年月日・年齢、性別や担当医入力に便利な「入力規則」を利用することで、エクセルで効率的に患者管理をすることができます。
患者番号を単に「1」と入力するのではなく、「00001」など他の位に0を入れて、後からソートしやすくするには、以下のように番号の桁を指定しましょう。
(例)5桁なら「00000」、7桁なら「0000000」
患者番号の頭にアルファベットをつけて、患者をグループ分けしたいときの方法を説明します。
アルファベットは好きなものを、0は必要な桁数いれてください。たとえば、「"R"00000」と設定し、1を入力すると、「R00001」と表示されます。
エクセルの関数のIF機能を利用します。たとえば、入院中か退院かで区別する場合は、表示させたいセルに以下をコピーして貼り付けしましょう。
=IF(ISBLANK($C2),””,IF(ISBLANK($J2),”入院中”,”退院”))
〇と×で区別する場合であれば、”入院中”の箇所に”〇”、”退院”の箇所には”×”を入れてください。
このように、エクセルを使って入退院の状況を自動抽出することができます。
患者さんの氏名のフリガナを自動で入力する方法は以下の通りです。
エクセルのPHONETIC関数を利用して、氏名欄に氏名を入力すれば自動的にフリガナ欄にフリガナが入力されます。ただし、読み方が複数ある氏名だと、正しく表示されないことがあります。あらかじめパソコンの「ユーザー辞書」登録しておくと便利でしょう。
患者さんの生年月日を西暦で表示させる方法をご紹介します。
前述した表示させたいタイプは、たとえば「2000/11/20」にしたいのか「2000年11月20日」がいいのかといった表示スタイルのことです。
桁数が揃うことで、一覧表示時に、縦にきれいに揃って見えます。
次に、生年月日を和暦(元号)で表示する方法です。途中までは西暦表示の設定と変わりません。
生年月日から年齢を自動抽出することもできます。C2のセルに氏名、F2に生年月日が入力されていると仮定して説明します。
年齢を表示させたいセルに「=IF(ISBLANK($C2),””,DATEDIF($F2,TODAY(),”Y”))」を入力すれば、okです。もし、氏名欄が空欄の場合は、空白になります。
患者の性別や担当医を、プルダウンメニューから選択して入力する「入力規則」機能を使えば、以下の2ステップで設定できて便利です。
プルダウンメニューの設定の場合は、新しいシートにテーブル機能を使って選択肢を入力します。「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックを入れておくと、便利です。
この2ステップをすることで、男性か女性かを文字で入力することなく、プルダウンメニューで選択できるようになります。
担当医入力の際も同様です。先ほど、性別の設定と同じシートに、選択肢(担当医名)を入力すれば、担当医の名前を入力しなくていいのでおすすめです。
リハビリ管理システムはExcelでも作成できます。ただし、Excelのプログラミング言語であるBVAやマクロの記録などの知識が必要です。自作できない場合は依頼して作成してもらわなければいけません。リハビリ管理をExcelで構築するかどうかはしっかり検討しましょう。
Excelでのリハビリ管理は便利である一方、専門的な知識が無ければ対応できないものもあるでしょう。自分たちの力での管理が難しいと感じているのであれば、ぜひリハビリ管理システムの活用を検討してください。
情報が一元管理できるだけでなく、状況共有が容易になる、リハビリスケジュールが自動で作成できる、専用ソフトと比較してコストがかからないなどのメリットだけでなく、単位管理ミスの削減にも繋がります。事務作業の効率化を実現することができるでしょう。
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