リハビリの中でも嚥下訓練は理学療法士としても難しいと感じるものですが、それでも理学療法士に求められている役割があります。
高齢化が進むことで摂食・嚥下障害で悩む方が増えています。特に我が国は少子高齢化が加速していることからも分かるように、高齢者が増えています。つまり、摂食・嚥下の悩みを持つ方が増えていると考えてよいでしょう。運動機能の低下に伴う咀嚼能力や唾液分泌機能の低下、咽頭に食べ物が残ってしまうことでのリスクが懸念されていることから、嚥下訓練は理学療法士だけではなく、言語聴覚士が担うケースもあります。
その中で理学療法士の役割としては、摂食機能チームのサポートです。姿勢設定、運動機能訓練、さらには摂食機能チームが患者と向き合い、円滑に訓練を行えるのかといった調整が求められます。また、嚥下機能は決して口元だけの問題ではなく、姿勢保持や頭・体幹も関わるものなので、理学療法士によるサポートが求められるケースも多いです。
理学療法士に期待されているのは食事でのポジショニング介入です。摂食とは食べること、嚥下とは咀嚼した食べ物を口腔から胃に送り込む動作です。摂食・嚥下障害は、病気等の影響によって起こる器質的障害、機能的障害、うつ病、拒食症がもたらす心理・精神的障害、そして加齢の4つの理由が考えられています。結果、栄養不良や誤嚥・窒息、食欲不振によって体力の低下を招き、低下した体力によってさらなる摂食・誤嚥障害を起こす悪循環を招いてしまいます。
摂食とは娯楽的な面もありますが、栄養補給も兼ねていますので、「行わない」は有り得ません。そこで理学療法士の出番です。理学療法士が意識するのは誤嚥を起こしにくいポジショニングの設定です。体勢を整えるのはもちろんですが、枕やクッションを活用するなどして、摂食しやすい体勢を整えることが大切です。
ポイントとなるのは、患者によって適切なポジショニングが微妙に異なる点です。体型や衰えている機能、向き合っている症状は人それぞれ異なります。理学療法士として患者の状態を把握し、患者にとって適切なポジショニングを取れるようサポートします。
適切なポジショニングを整えても、誤嚥や摂食障害のリスクを0にすることはできません。そのため、体制を整えるだけではなく食事そのものを見守る必要もあります。いつ誤嚥や摂食障害が起きるか分かりませんので、トラブルが起きた際にいち早く発見することが求められます。痰が増えている、炎症反応が見られる、咽頭音に異常がある等、分かりやすい反応もあれば動脈血酸素飽和度の低下や嚥下後、声が変化しているといった点もトラブルが潜んでいる可能性があります。例え些細な変化ではあっても、患者にとっては大きな負担となっている可能性もありますので、食事そのものも見守り、「いざ」に備えましょう。ただし、見られながらの食事で緊張してしまう患者もいますので食事を見守る際には少し離れた場所で見守るなどの配慮も必要です。
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