ここでは、身体拘束の最小化に関する概要や具体的な取り組みを開始する前に理解しておくべきポイントを解説します。
身体拘束は、抑制帯などを用いて患者の身体を拘束して、行動を制限することと説明できます。具体的な方法として、以下の行為が挙げられます。
身体的拘束の主な目的は、患者の徘徊や転落、転倒、点滴の自己抜去などを防止することです。
身体的拘束は、患者の自由を制限し、尊厳ある生活を妨げる行為です。また、以下のような弊害を引き起こす可能性があります。
身体拘束の最小化とは、患者の体を可能な限り拘束しない方針を指します。緊急やむを得ない場合で、以下の3要件を満たす場合にのみ実施を検討します。
基本的には、身体拘束による弊害よりも、身体拘束を行わない場合のリスクが大きい場合に検討されます。
2024年の診療報酬改定で、身体拘束を最小化するための取り組みが強化されました。具体的には以下の内容が含まれています。
入院料の施設基準に、患者又は他の患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならないことを規定するとともに、医療機関において組織的に身体的拘束を最小化する体制を整備することを規定する。
参照元:【PDF】厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要」(4ページ)
(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238907.pdf)
身体拘束最小化の基準を満たさない場合は、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料から40点/日が減算されます。身体拘束最小化の基準における基本的なポイントは以下のとおりです。
ルールに基づいて体制を整備することが求められます。
身体拘束の必要性を検討しなければならない患者は、事故のリスクが高い状態です。身体拘束を行う場合でも行わない場合でも、転倒や転落などのリスクは伴います。いずれの場合も、患者およびその家族に対してこれらのリスクを説明し、同意を得ることが重要です。
身体拘束を最小化するために欠かせないのが多職種間の情報共有です。それぞれの専門家が患者について十分な情報を得ることで、身体拘束以外の治療や看護の方法を見つけやすくなります。多職種間の情報共有を支援するリハビリ管理システムの導入を検討することも一案です。
身体拘束の最小化とは、体を拘束する行為を可能な限り控えることです。診療報酬改定で「身体的拘束を最小化する取り組みの強化」が規定されたため、リハビリ病棟での対応も求められています。ルールに基づいて体制を整え、リハビリ管理システムを活用して情報共有を進めることが重要です。
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