AIは決してIT系だけのものではありません。幅広い業界にて活躍を期待されているシステムなので、リハビリの世界においてもAIへの期待値は高まっています。このページでは、AIとリハビリの関係性についてまとめているのでご覧ください。
リハビリにAIを組み合わせたシステムは、まだまだ少ないものの、登場しています。統計情報、推奨計画、退院日予測等をAIが算出することで、患者、理学療法士それぞれを助けようとするシステムです。ただし、まだまだAI技術そのものが発展途上な面もある点や、日本国内にAI技術者が少ない点などから、既に完成されているシステムではなく、まだまだこれからのシステムとなっています。リハビリや医療だけではなく、他の産業においてもようやくAIの搭載されたシステム・サービスが増えつつある段階です。AIが広く普及することでAIの利便性が認知され、開発にもリソースが注がれ発展しますので、リハビリのAI管理は「今後に期待したい」が現状です。
リハビリへのAI搭載はまだまだこれからですが、いくつか登場しているものをご紹介しましょう。例えば自宅でのオンラインリハビリシステム。理学療法士とオンラインで相談できるシステムは、リハビリセンターのデータを基に、患者に適したトレーニングを提案し、効果的に実施されているのかをAIがチェックします。このように、完全にAIだけで運用されるものではなく、部分的にAIを活用したシステムとなっています。まだまだすべてAIのシステムは難しい点や、リハビリの特性上、すべてをAIに委ねるのではなく、理学療法士が必要な部分は理学療法士がアドバイスをするなど、役割を分担することで患者に適したサービスを提供しています。
お伝えしたように、リハビリ業界とAIは「まだまだこれから」です。そこでリハビリ業界がAIに期待している役割をご紹介しましょう。
歩行訓練においてAIロボットが期待されています。現在、歩行訓練を行う場合には理学療法士・作業療法士が姿勢や歩容を観察しつつ、支持を決めています。つまり、理学療法士や作業療法士の感覚に委ねる部分が強いのですが、AIロボットによってどれだけ力がかかっているのかや運動学的データからどれだけの支持が必要なのかを検知し、支持を行います。既にスイスとオランダにてプロジェクトが進行している分野で、理学療法士や作業療法士の体力的負担軽減だけではなく、適切な支持の決定が期待されています。また、ロボットAIとのことで、コミュニケーション面における理学療法士や作業療法士の負担軽減も期待されています。
理学療法士や作業療法士がついてのリハビリは時間が限られています。実際には理学療法士や作業療法士とのリハビリだけではなく、日常生活をどのように過ごすのか、といった点も重要な部分です。そこで期待されているのがプログラム支援のAIです。自主トレーニングを支援するシステムは、徐々にではありますがAIの活躍が始まっています。ロボットのカメラにて患者のパフォーマンスをモニタリングし、適切な運動が行えているのかを判断。
また、ただ判断するのではなくモニタリングを通して患者の状態をAIが検知し、患者の状態に合わせて難易度を調整したプログラムを提供するなど、AIがセラピストの代わりとなって理学療法士や作業療法士とのリハビリ以外の時間の運動をサポートします。こちらはリハビリ効果をより高めるための働きが期待されています。理学療法士や作業療法士との時間以外に何もしていない患者も、AIによってサポートを行うことで日常生活にリハビリを取り入れ、リハビリの効果を高める狙いがあります。
利用者の現状を入力してもらい、リハビリ計画を作成するAIも登場しています。リハビリは実践も大切ではありますが、「正しい計画にもとづいたリハビリの実践」が大切です。患者にやる気があっても、マッチしていないリハビリ計画では効果は期待できません。
一方で、リハビリ計画は患者の状態によって異なりますので、リハビリのサポート同様、セラピストにとっては負担の大きな部分です。患者一人一人の状態、これまでのリハビリ歴、効果、目的。これらすべてからリハビリ計画を立案しなければなりませんでしたが、AIがこれらのデータから、瞬時にリハビリ計画を立案することで、より効率的なリハビリ計画の策定、さらにはセラピストの負担軽減が期待されています。
AIの進歩は大きな期待が寄せられている一方で、不安もあります。医療業界だけではなく、すべての業界において「人間が仕事を奪われるのではないか」というものです。
AIの進化は、それまで人間が行っていたことをシステムが行えるようになりました。結果、人間が仕事を奪われるとの懸念がありますし、実際にAIを導入したことで人件費削減に成功している企業も増えています。しかし、すべてをAIで行うことは不可能だとの声もあります。AIの登場が注目を集める際「こんなことができます」と紹介されることは、確かにこれまで人間が行ってきたこともありますが、AIができることを行っているのであって、いくら優れたAIではあってもできないこともあるとされています。
特にリハビリの領域に関しては、AIの進出が難しいとされています。過去のデータ分析からリハビリのプログラムを提案したり管理したりは可能でも、実際に一緒にリハビリを行うとなれば、現実的には難しいとされていることから、AIがさらなる進化を遂げても理学療法士や作業療法士の仕事がなくなる可能性は低いとされています。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)