ここでは、認知症のリハビリテーションにおける主な課題とその解決法を解説しています。
九州大学が発表している資料によると、2022年時点における認知症高齢者の推計値は443.2万人、MCI高齢者の推計値は558.5万人です。
65歳以上の高齢者数がピークを迎える2040年に、認知症高齢者の数は584.2万人、MCI高齢者の数は612.8万人になると予想されています。認知症高齢者の増加を踏まえた体制の整備が求められています。
認知症は、院内でのリハビリテーションを妨げる要因になりえます。認知症の影響で計画どおりにリハビリテーションを進められず、介助を必要とする状態で退院することが考えられます。
認知症は、在宅復帰を妨げる要因にもなりえます。たとえば、リハビリテーションで歩行能力を回復できたとしても、認知症で日常生活動作に課題を抱えていると、独り身の方は在宅復帰できないケースが多いでしょう。これらを前提に、リハビリテーションを計画しなければならない点も課題です。
認知症のリハビリテーションは、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。行動・心理症状(BPSD)のリハビリテーションには、原則として非薬物療法が用いられます。
具体例としてあげられるのが回想法、音楽療法などです。ただし、現在のところ非薬物療法のエビデンスレベルは低いと考えられています。この点も認知症のリハビリテーションにおける課題といえるでしょう。
認知症のリハビリテーションは、認知機能の維持などに焦点を当ててきました。認知機能の維持だけでなく、ADLやIADLに焦点を当てることも大切です。ADLやIADLの低下が在宅復帰を難しくするためです。これらを低下させる原因に焦点をあてた、科学的なリハビリテーションを目指すとよいでしょう。
認知症のリハビリテーションで実施される非薬物療法のエビデンスレベルは低いと考えられています。科学的なリハビリテーションを実施するため、エビデンスの蓄積が求められます。
エビデンスの蓄積に活用したいのがリハビリ管理システムです。具体的な機能は製品で異なりますが、リハビリ実施記録を作成・管理したり、患者の在宅復帰率を集計したりできます。科学的なリハビリテーションを実施しやすくなる可能性があります。
認知症のリハビリテーションでは、ADLやIADLに焦点を当てることや非薬物療法のエビデンスを蓄積することが大切です。
エビデンスの蓄積には、リハビリ管理システムを活用できます。リハビリテーションの現場で遭遇するその他の課題を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)