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リハビリ時の栄養評価で理学療法士が注意するべき点は?

理学療法士がリハビリを行う際に重要項目とされていることに栄養評価があります。栄養評価の重要性や注意すべき点をまとめました。

理学療法士が栄養評価を行う理由は?

リハビリを行っている高齢入院患者の約半数は低栄養を合併していると考えられます。低栄養だと、機能回復が不良となり、QOLが低下するだけではなく、再入院率や死亡率も増加します。栄養管理を併用したリハビリが有用です。

栄養管理と組み合わせたリハ栄養は、多職種が連携してチーム医療として進めていきます。当然、理学療法士も基本的な栄養の知識が必要です。低栄養の有無や原因を評価し、その代謝変動を理解しておくことによって、理学療法のリスク管理にも役立ちます。適切なリハビリを行うためにも、理学療法士による栄養評価は重要です。

栄養評価が必要とされる理由

廃用症候群でリハビリを行っている高齢患者の88%、回復期入院患者の37.7%に低栄養が認められADLの向上が得られにくいという報告があります(※1)。栄養がリハビリの効果に影響を与えることから、栄養評価は重要です。

成人における低栄養の原因は、栄養不良、侵襲,悪液質と言われています。栄養不良の場合、筋肉や脂肪を分解して活動に必要なエネルギーを得ようとすることで筋肉・脂肪量が低下。低栄養状態を引き起こします。侵襲は、創傷治癒などのためにエネルギー消費量が増加します。また、悪液質では、慢性的な炎症によって低栄養が生じて、筋肉が減少するのが特徴です。

特に急性期リハビリにおいては、栄養状態の評価は重要。リハビリは、運動により実施されます。運動を実施するためにはエネルギー産生が必要です。エネルギーになるのは、糖質・脂質・タンパク質。これらが不足することで、筋肉・脂肪量が低下してしまい、リハビリ効果が上がらなくなることがあります。

入院患者さんの場合は、経口摂取が可能で3食しっかりと食べている場合は問題ないでしょう。喫食量が少ない経口摂取ができない患者さんの場合は、栄養状態に注意が必要です。

急性期の患者さんで手術直後や全身の炎症が強い場合は、治癒のために消費カロリー量も高くなります。常に消費カロリーが摂取カロリーを上回った状態になれば、少しずつ患者さんの体重が減少していくことに。筋力トレーニングや有酸素運動をしても、運動効果が上がらないだけではなく、筋肉のたんぱく質を分解してエネルギーを産生することになります。

せっかくリハビリをしているのに、筋力がダウンしては意味がありません。栄養評価によって、質の良いリハビリを行う必要があります。

高齢者の場合注意するべきフレイル・サルコペニア

「フレイル」「サルコペニア」はともに、「老年症候群」の症状です。老齢症候群は、加齢と病気や心・体の状況が絡み合って生じます。

加齢に伴って様々な機能変化や健康障害に対する脆弱性が増加した状態のことが「フレイル」です。すでに慢性の病気があり、何かのきっかけで病状が悪くなった方にも多く見られます。「体重減少」「筋力低下」「疲労感」「歩行速度低下」「身体活動量低下」のうち3つ以上が当てはまる状態です。

「サルコペニア」は、「骨格筋力の減少」「筋力や身体機能の低下」といった症状があります。広背筋や腹筋、膝伸筋、臀筋群などの抗重力筋にあらわれやすく、移動能力が低下したり、日常生活動作に制限がかかったり、転倒リスクが増加したりします。さらには転倒を繰り返すことでサルコペニアが進行するのも特徴です。運動リハビリの介入で改善を促せます。

老齢症候群には、自分でできるのにやらなくなることで本当にできなくなってしまう「廃用症候群」や記憶力・判断力・計算力が低下する「認知機能の低下」もあります。

理学療法士が栄養評価を行う際注意するべき点は?

栄養評価の際には、必要エネルギー量の評価が欠かせません。その患者さんにとって、どのくらいのエネルギー量が必要かを知るためには、まず、基礎エネルギー代謝を求めます。一般的に使用される式は、男性なら「66.47+13.75×体重+5.0×身長−6.76×年齢」、女性は「655.1+9.56×体重+1.85×身長−4.68×年齢」です(※2)。この基礎エネルギー代謝に活動係数と傷害係数を掛け合わせて、必要エネルギー量を求めます。

このとき注意するべき点として、経口摂取以外のエネルギー量の把握です。脳梗塞後の嚥下障害や、消化器疾患で絶食中の場合、食事メニューだけでは栄養状態を判断できません。経鼻胃管などから流動食が投与されるケースや静脈から栄養剤を投与するケースもあります。静脈栄養と経口栄養、経管栄養の総量を把握することが重要です。

侵襲の高い手術後や重症感染症の場合は、回復に大きなエネルギーを使うため、栄養状態の評価はより慎重に行わなければいけません。生体内に侵襲が加わった場合、体内の代謝変化は「傷害期」「異化期」「同化期」に分けて考えます。

傷害期は一時的にエネルギー消費が少なくなり、異化期は筋肉のたんぱく質や脂肪の分解でエネルギーを産生します。炎症反応が高いときは、十分な栄養が入りづらいため、リハビリを無理に進めても効果的ではありません。身体修復のために栄養素が分解されているときは、消費カロリーの大きな運動は控えることが大切です。

情報参照元

※1.(pdf)大阪医療福祉専門学校(低栄養とリハビリテーション

※2.OGメディック(急性期でも栄養評価は必要?リハビリ実施時に注意するべきポイント

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