ここでは、小児リハビリテーションが抱える2つの課題とその解決策を解説しています。
小児リハビリテーションを取り巻く環境は大きく変化しています。主な変化としてあげられるのが、1人の患者に複数の機関が関わるようになったことです。具体的には、医療型障害児入所施設、児童発達支援センター、訪問リハビリステーションなどが連携をとりながら支援するようになりました。多角的なアプローチを図れる点はメリットですが、1つの機関だけで小児リハビリテーションに関するエビデンスを蓄積することは難しくなっています。自施設のエビデンスに基づく推論を行いにくくなった点は課題です。
日本理学療法士協会が実施した調査によると、小児理学療法の実施率は40%程度です。非実施の理由として、26.5%が「小児患者に対応できる理学療法士がいない(知識・技術不足)」をあげています。全体の51.9%が「院内に小児患者の理学療法を指導できる理学療法士がいない」と回答している点もポイントです。小児領域のスペシャリストが不足しているといえるでしょう。
ちなみに、小児患者を小児理学療法チームが担当している施設は11.4%です。スペシャリストを中心としたチームアプローチは、効率のよい理学療法の提供につながる可能性があります。スペシャリストの不足は、小児リハビリテーションが抱えている課題といえるでしょう。
1人の患者に複数の機関がかかわるため、小児リハビリテーションではエビデンスの蓄積が困難になっています。課題を解決するため取り組みたいのが、多機関参加によるデータベースの構築とその活用です。これにより、各機関が妥当性の高い推論を行いやすくなります。つまり、自施設に十分なエビデンスがなくても、小児リハビリテーションの質を高めやすくなると考えられます。
小児理学療法の実施率はスペシャリストを育成することで高められる可能性があります。自施設に指導できるスタッフがいる場合は、定期的に勉強会を開催するなどの対策が考えられます。自施設に指導できるスタッフがいない場合は、既存のスタッフが認定理学療法士、専門理学療法士などの関連する資格を取得するとよいでしょう。
小児リハビリテーションは、エビデンスを蓄積しにくい、スペシャリストが不足しているなどの課題を抱えています。これらの課題は、データベースの活用、教育環境の整備などで解決できる可能性があります。日々の業務でこれらを意識することも大切です。
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