ここではリハビリ病棟にAIを活用するメリット・デメリットやAI活用事例について解説します。
リハビリ病棟にAIを活用する大きなメリットは、個別の患者に対して適切なリハビリプランの提供が可能になる点です。AIは大量のデータを解析し、各患者の症状や進捗をリアルタイムで把握することで、個々に合った治療計画を提案できます。
また、AIを用いたリハビリ機器やロボットが補助することで、リハビリテーションの効果をさらに引き出すことができるように。これにより、患者の回復が早まり、病棟のリソース効率も向上します。
リハビリ病棟にAIを導入するデメリットも存在します。まず、初期導入コストが高いことが挙げられます。高機能なAIシステムや専門機器の導入には、莫大な投資が必要となる場合があります。
また、AI技術を活用するためには、スタッフが新たなスキルを習得する必要があり、教育やトレーニングに時間とコストがかかる点も考慮しなければなりません。さらに、AIシステムの精度や信頼性についても依然として課題が多く、場合によっては医療ミスや誤った診断を引き起こすリスクも存在します。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、社会医療法人 北斗 十勝リハビリテーションセンターと共同で、AI予測分析ツールを開発しました。
このツールは、回復期リハビリテーション病棟における予後予測に利用されるもので、2024年7月以降、全国の回復期リハビリテーション病棟に提供が開始される予定です。今回のソリューションは、十勝リハビリテーションセンターの過去6年間のデータをもとにソニーのAI予測分析ツール「Prediction One」を専用にカスタマイズしたものです。
これにより、導入後すぐに高精度な予測が可能となります。特に、「歩行動作の予測」「トイレ動作の予測」「運動項目FIMの予測」といった具体的なリハビリテーション活動において高い予測精度が実現されています。
NECと北原リハビリテーション病院は、AI技術を活用したリハビリ介入プログラム作成に関する技術実証を行いました。このプロジェクトでは、リハビリ計画作成業務の中でも特に「リハビリ介入プログラム作成」に焦点を当て、業務負荷の軽減を目指しました。
この取り組みには、北原リハビリテーション病院に蓄積されたリハビリ介入プログラムの実施事例データベースを活用して、熟練者の行動を学習する「模倣学習技術」が使用されています。
具体的には、回復効果が高かったリハビリ介入プログラムの実施事例を模倣し、患者ごとに適したリハビリ介入プログラム候補を生成する技術です。
これにより、経験の浅いスタッフでも高効率なリハビリ計画を立案することができ、結果としてプログラムの質が向上する効果が見られました。それに加え、ベテランスタッフの指導負担を軽減する効果も期待されています。
リハビリ病棟にAIを活用することで、個々の患者に適したリハビリプランを提供できるようになります。AIを活用したリハビリ介入プログラム作成も進められているため、今後さらにAIの活用が活発になることが予想できるでしょう。
以下では他にもリハビリの現場で抱えやすい課題などを紹介しているので、こちらも参考にしてみてください。
※Googleで「リハビリ管理システム」と検索をして上位表示された電子カルテ・介護用システムを除く21社を調査し、無料デモンストレーション・導入事例・外部システムとの連携・サポート部門が公式HPに記載されている3社を紹介しています。(2021年12月1日時点)